私が大手IT企業に3年間ほど勤務して、身をもって体験した怖い話をしたいと思います。

 

この記事でお話しする事は、すべて実体験です。

手遅れにならぬよう、以降でお話しする内容を参考にしていただき、身に危険を感じた際には何かしらの行動をとることをお勧めします。

 

 

※以降でお話しする内容は、あくまで私個人の体験と感想になります。当然ですがすべてのIT企業に関係するものではありません。

 

 

なぜIT企業を選んだのか

 

 

私は高校時代にとくにやりたいことがなかったので、近場の大学に進学することにしました。

いくつかある学部のうち、情報学部が魅力的で(パソコンをいじるのが好きだったので)、情報学部に入学しました。

 

情報学部では、コンピュータの使い方、プログラミング、システム開発の演習などをメインで行いました。

 

このため、就職先はそこまで真剣に悩むことなく、「IT企業に就職するんだろうな」程度で考えていました。

 

実際、大学の就活担当の教員からも、「IT系の企業の方が君たちは入りやすいから、よっぽど他にやりたいことがない限り、そうすること!」と念を押されていました。

まぁ大学の就職率を高めるためにも、まったく別の業界を希望し、不採用になる学生を少なくしたいためでしょうが・・・

 

そんなこんなで、日本全国に事業所や子会社がある大手IT企業に就職することにしたわけです。

 

IT企業が大変なことはある程度知っていましたが、大学もそこそこ大変でしたので、「まぁ何とかなるだろう!」という甘い考えでいたのが失敗でした。

 

残業は平均して月100時間(ほとんどがサービス残業)

 

私がいた会社はサービス会社であり、顧客先に出張して作業をするというのが通常でした。

開発したシステムが正常に動作するかどうかを、顧客先のコンピューターでテストを行うというのが、主な業務内容でした。

 

課の中にいくつかのチームがあり、チームリーダー(中堅社員)を中心に5~7人くらいの社員で一つの案件に対応していました。

 

入社して数カ月の間は、新人であまり仕事のことをわかっていなかったこともあり、残業はありませんでした。あっても、1,2時間の残業が2週間に1日くらいでした。

 

ですが、入社して9カ月くらいたった頃に、課長から、「〇〇くん(私)、そろそろ仕事も慣れてきただろうから、顧客先に行ってほしい。」と言われました。

 

顧客先では、自社とは異なり、毎日が忙しく炎上していると聞いていたので、内心はドキッとしましたが、私は経験が積めると思い、指示に従いました。

 

ですが、そこからが悪夢の始まりでした。

 

自社にいた頃は、勤怠管理は打刻機で行っていました。社員証を「ピッ!」とかざして、出社時刻と退社時刻を管理していました。

ですが、顧客先では打刻機がなく、基本的に「何時から入って、何時まで働いたか」は自己申請でした。

 

さて、感の良い皆さまなら、もう雲行きが怪しくなってきたことにお気づきではないでしょうか。

 

先ほどもお話ししましたが、顧客先での作業は、自社で開発したシステムのテストです。システムが正常に動くかどうか、エラーはないかを確認していきます。

 

この作業がかなり大変で、必ずエラーが発生します。うじゃうじゃ発生します。

エラーの原因がわかれば、まだ良いのですが、ほとんどが原因不明のエラーだったり、長時間調査を続けなければわからないようなものであったりします。

 

入社したばかりで、知識が浅くても、チームメンバーは皆自分の仕事で一杯なので、私の作業を手伝う余裕などありません。

だからといって、スケジュール通りにテストが進まなければ、大変なことになるので、毎日私だけ日付が変わるまで残業をしていました。

 

チームの皆は、私より先に上がる前に、「〇〇くん、大丈夫?一人でやれそう?何時までかかりそう?」などと声をかけてはくれるのですが、それでも残業時間を増やすと上司から怒られるので、さっさと帰っていきます。

 

何が原因でエラーとなっているかもわかりませんし、あと何時間で終わるのかなんて当然わかりません。

けれど、作業用のパソコンを片付け、鞄を抱えて帰ろうとしている先輩に対して、「助けてくださーい」なんて言えるはずもなく…

 

入社してから1~2年は、こんな生活が続き、残業時間は月平均で100時間は普通でした。

 

ですが、赤字案件だったので、課からもお金はあまり出せず、残業をすると上司からお叱りを受けます。

数分おきに自社から出張先に「お叱りの電話」がかかってきて、「なんでそんなに残業するんだ?もっと効率化しろ?改善方法はないのか?」などとしつこく言われます。

むしろ、その電話のせいで業務に集中できない日もありました。

 

残業はするなと言われる。でも期限が迫った仕事がいくつもある、効率化はしてても終わらない。そんな仕事でした。

テストのエラーなんて、いつ、どんなタイプのエラーが出るのかわからないのに(私は神様でも超能力者でもない)、1ヶ月分の残業時間を見積もれ!なんてできるはずがありません。

 

すると、チームの皆は同じ考えにいたるわけです。

 

1ヶ月100時間残業しても、35時間程度に減らして申請する」と・・・

 

顧客先なので、コンピュータをオフラインにしてしまえば、自社から気づかれることはありません。

 

私も退職するまでの2年くらいは、サービス残業の毎日でした。

 

ブラック企業と「ゆでカエル」

 

いつだったか、先輩社員の一人が次のようなことを私に言いました。

 

うちの会社の社員は、まさに『ゆでカエル』だから、〇〇くんも体調管理には気を付けた方がいいよ。

 

「ゆでカエル」って何だろう?と調べてみると、実際にはそうはならないらしいが、次のようなことを言っています。

 

蛙を常温の水の中に入れ、少しずつ水温を上げていくと、水温の変化に気づかず、やがて熱湯の中で死んでしまう

 

つまり、先輩が伝えたかったことは、「毎日少しずつ残業時間が増えていき、さらに少しずつ上司からの無茶な指示・命令をこなしていくことで、だんだん判断能力が失われ、気づいたら心身がボロボロになっている」ということでしょう。

 

とくに、チームリーダーまで任されるような立場になると、退職したくても周りや顧客先に迷惑をかけてしまうという責任から、会社を辞められないし、欠勤することすらできなくなるわけです。

 

ブラック企業で酷使され、過労死した人や自殺した人のニュースを聞くと、「なんで死ぬまで働くんだろう。辞めればいいのに。」なんて思っていた時期(学生のころ)もありました。

 

でも、ゆでカエルのように、感情の働きが鈍ってしまい、辞めたいとすら思わなくなってしまう人もいるでしょう。

会社に迷惑がかかる、家族を心配させてしまうという責任感の強い方もいるでしょう。

 

このようにして、過労死、自殺が起こってしまうのだと、私は感じました。とても悲しいことですし、絶対にあってはいけないことです。

 

 

幽霊社員がたくさんいる

 

私がいた会社には、幽霊社員がたくさんいました。

幽霊社員とは、よくあるような「めったに部活に顔を出さない幽霊部員」とは違った言葉の使い方でした。

 

すでにお話ししましたように、一定の時刻になると、皆社内に残っているのに、帰ったことにするのです。

つまり、19:00に退勤の打刻をするのですが、当然そこから残業を続けるわけです。

 

そんなわけで、「いないはずなのに、なぜか残って働いている幽霊社員」と呼んでいました。

 

さすがの私も、その姿にはゾッとしました。ここまでしなければならないのか、と酷く辛くなったのを覚えています。

 

ちなみに、うちの会社では、セキュリティの関係上、外へ出るのも、中へ入るのも、社員証による認証でドアが開く仕組みでした。

 

そして、この認証をしてしまうと、帰ったはずの社員がドアの開閉認証を行った、ということから、幽霊社員の存在が会社に知られてしまいます。

なので、他の人が出入りするのに合わせて、外に出たり、トイレから戻ったりしていました。

 

オフィス内で作業をしていると、リーダーから電話がかかってくるわけです。

僕もういないことになっていて、カード認証で入れないから、ドア開けてくれる?」と。

もう笑い話ですよ。こんなの。

 

ホテルや新幹線の中で作業をする兵士たち

 

出張先での作業とはいえ、週末は実家に帰ります。

つまり、新幹線や電車による移動がけっこう長いのです。出張先が遠い県の場合には、片道5時間ということもありました。

 

そうなると、少しの時間も無駄にできないということから、新幹線の中で作業をし始めるわけです。当然サービス残業です。

 

さらには、こんな社員もいました。

18:00くらいに退勤する準備を始めるので、「あ、今日は早く終わったのだな。最近忙しかったから、良かった」などと思っていると、その社員はこう言って帰るのです。

 

場所を変えまーす!」と。

 

普通なら、「お先に失礼します」とか「お疲れさまです」ですよね。

ですが、「場所を変える?うん?」と私が不思議そうな顔をしていたら、教えてくれました。

 

どうやら、これから宿泊先のホテルに戻って、そこで作業を行うとのことでした。

 

結局、残業時間を増やすわけにはいかない、けれど仕事はたくさん残っている。

苦渋の決断でしょう・・・

 

洗脳されたように会社を守る兵士たち

 

不思議なことに、こういう生活が何年も続いてくると、なぜか社員の皆は「会社を恨む」のではなく、より一層「会社のために」働くようになっていきました。

 

会社のために土日は返上しよう」だとか、サービス残業だったのに「納期が間に合ってよかったぁ~」などと、笑いながら話すのです。

 

一種の洗脳のように感じました。私も若干このような考えになっていた部分があったのは確かです。

 

何でしょうね。チームの全員が辛いから、私一人だけが苦しいわけじゃないから、といった理由で、上のような感覚が染み付いてくるのでしょうか。

 

そして、社員の誰もが、「日付が変わるまで残業したこと」「土日を返上したこと」などを誇らしげに語るようになってくるのです。

そんなことはあってはならないはずなのですが・・・

 

精神病を理由に退職を決意

 

こんな生活が長い間続くと、次第に次のような症状が現れてきました。

 

  • 夜怖い夢をしょっちゅう見る(会社で失敗したり上司に怒られたり)
  • 夜息苦しくなり起きてしまい、なかなか寝付けない
  • いきなり呼吸が苦しくなるときがある
  • 色々な物に興味がなくなり、世界が色あせて見える

 

さすがにこれはマズイと感じ、家族にも相談し、病院の精神科にかかりました。

症状が出そうなときは、精神安定剤を飲むようにしていました。

 

しかし、こんな生活をずっと続けるわけにもいかないので、ある日勇気を出して上司に相談しました。

 

病気を理由に、会社を退職したいと申し出ました。

 

大きな会社だったので、課長や部長、色々な管理職と面談をし、なかなか辞めさせてくれませんでしたが、最終的には私の覚悟が伝わり、退職することができました。

 

私の場合には、病院の通院履歴や診断書などが証拠としてあったので、辞めやすかったのかもしれません。

皆様も、このような資料は証拠となりますので、捨てないようにしておきましょう。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。これは、私が大手IT企業に入社して退職するまでの3年間に実際に体験したこと、感じたことです。

過酷な環境で労働するのも、会社のためにサービス残業するのも、家族と自分を犠牲にして会社のために働くのも、全部間違っていると私は思っています。

 

「ゆでカエル」の話をしましたが、抜け出せなくなった後では遅いのです。そのときは、体も心もボロボロです。

 

皆様には、こんな生活を送ってほしくありません。

 

少しでも体調の変化を感じたり、身に危険を感じられた際には、すぐにアラームを上げてください。あなたの体を守れるのは、他でもない、あなたしかいません。

会社はあなたを守ってはくれません。最悪な事態になったとしても、「何も言ってこなかったから・・・」と逃げられて終わりです。

 

私は運よく退職することができましたが、今では、会社を辞めて本当に良かったと考えています。

第2の人生をスタートするんだ!という心意気で毎日充実して暮らしています。