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『ここ数年、いつも温厚だった祖母が怒りっぽくなりました。 もの忘れも激しいし、認知症かもしれません。どう対応したらいいでしょうか・・・』 |
こんな疑問に、僕の体験談からお答えします。
- 認知症の祖母がどんな状況で怒るようになったか(体験談から説明)
- 認知症になると、どうしてすぐ怒るのか
- 認知症ですぐ怒る家族への対応
認知症の祖母と8年同居しています
この記事を書いている僕は、認知症の祖母と約8年間同居しています(2019年4月現在)。
病気のせいで性格がまったく変わってしまった祖母の、あまりにも酷すぎる言動にも、家族で対処してきました。
それでも、ここ数年は認知症の祖母に対する接し方がわかってきて、なんとか穏やかな日が継続しています。
この記事の内容が、認知症の方との対応に悩むご家族にとって、少しは役に立つものであると考えています。
目次
認知症の症状!?普段温厚な祖母がよく怒るようになった
高齢の家族と一緒に暮らしている方で、最近その家族がよく怒るようになった、という方はいますか?
万が一を考えて、その方を連れて病院にかかり、認知症かどうかを調べてみた方が良いかもしれません。
この記事では、認知症である僕の祖母を長年見てきてわかったこと、体験したことからお話ししたいと思います。
認知症の症状1:些細なことですぐ怒る
まず、認知症である僕の祖母は、些細なことですぐに怒るようになってしまいました。
僕は認知症と診断される前の祖母を知っているので、あまりの変化に正直信じられませんでした。本当に180度人が変わるとは、こういうことなのかと思ったくらいです。
例えばですが、祖母の場合、次のような本当に些細なことで怒ります。
- 祖母が部屋をウロウロしているところを見る
- お風呂に入ろうと誘う
- 病院へ行こうと誘う
- 食べ物をよく噛んでねと伝える
- 祖母以外の別の家族を褒める
- 食事が美味しくない(笑)
- 会話に入れない
- 僕の姿を見る(泣)
と思いつく程度で挙げると、上のような感じです。実際はもっともっと沢山あると思います。
共通しているのは、着替えてどこかに行こう!と誘うとかなり嫌がります。認知症に共通の症状なのかは不明ですが、僕の祖母は外出を極端に嫌うようになりました。昔はそんなことはありませんでした。
あと祖母を心配する態度も何故か嫌います。
母が祖母に対して、「食べ物をよく噛んでね」とか「咳大丈夫?」とか声をかけると、『心配はいらん!』という感じでちょっと怒ります。
どうも、人から気遣いされるのが嫌なようです。
食事に関してもよく機嫌が悪くなります。自分の好きなメニューじゃなかったときや、ちょっとでも味が好かないと、かなり機嫌が悪くなります。
そんなときに、「おいしい?」と笑顔で尋ねると、「はいはい…」という返事だけで終わることもしばしば。
一番最後の、僕の姿を見ると機嫌が悪くなる、というのは悲しいですが事実です。
どうも、僕がずっと家に居るのが気に入らないらしいです。
僕は個人事業なので、家で仕事をするのがメインなのですが、祖母はそんなことは覚えていられません。何度説明しても記憶に残らないのです。

僕が祖母の視界に入るたびに、「仕事の時間!」「男は働くべき!」「は~あ…こんな年でも仕事をしたいっていうのに!」みたいなセリフをしょっちゅう吐き捨てられます。まあもう慣れましたが…
認知症の症状2:怒っていたと思ったら、すぐ機嫌が良くなっている
ほんの数分前にかなり機嫌が悪くなり、自分の部屋に帰っていったと思ったら、その数分後に笑顔で話しかけてくることがあります。
もちろん機嫌の悪い状態が継続する場合もありますが。
普通なら、怒っていればしばらくそのままですよね?
喧嘩別れした数分後に、何もなかったかのように話しかけてきたら、ちょっと認知症などの病気を疑った方が良いと思います。病院にかかられることをお勧めします。
認知症の症状3:怒っていた事を数時間後に忘れている(記憶がない)
認知症の症状2にも通じる内容ですが、さっき自分が怒っていたことをすぐに忘れてしまいます。
怒っているときは、祖母はかなり酷いことを口にします。ここではとても言えない(書けない)ような暴言を吐かれることも多々あります
ですが、しばらくして、「さっき、こんなことを言ってたのよ!?」「覚えていないの?」と聞いても、まったく覚えていません。
こうなったら、もう認知症を疑うべきです。みなさんご存知のとおり、認知症とは最近のこと(ここ数時間、数分、数秒)がまったく記憶に残らない病気だからです。
当の本人の記憶にはまったく残っておらず、笑顔で話しかけてきますが、当然こちらは皆覚えています。
なので、その都度気持ちの切り替えを行わなければならず、正直ついていけない、気持ちのやり場がない、ということもあります。
それでも、僕たち家族は試行錯誤の結果、認知症である祖母を基準に考え、悪いことなど何もなかったかのように振る舞うようにしています。
正直、これはこちら側にとって、かなりのストレスとなりますが。
ただ、皆さんに同じことを強要しているわけではありません。あくまで、これも選択肢の1つだということを知ってほしいのです。
認知症の症状4:家族が怒ると全く聞いてくれない(会話がかみ合わない)
とはいえ、僕たち家族も人間なので、どうしても祖母を叱ってしまうことがあります。
祖母が怪我をしないように、家族が怪我をしないように、そのために祖母に守ってほしいことなどを、忘れないように何度も言い聞かせます。
たとえば、次のようなことです。
- テーブルの上に乗らないでね
- 人が来ても、外に出ていかないでね
- 汚れた下着を部屋に隠さないでね
などなど、挙げればきりがありません。
当然、僕たち家族も、このような注意をしてもすぐ祖母が忘れてしまうことは承知しています。
でも、過去にいくつか、何度も言い聞かせたことで、祖母が覚えてくれたこともあったのです。
なので、もしかしたらと思い、希望を捨てないようにし、どうしても守ってほしいことは、祖母に言い聞かせることにしているのです。
ですが、そういった時、祖母はまったく人の話を聞けません。
こちらが話している途中から、自分が言いたいことをただただ話しています。こうなると、もう収まらなくなります。何回も「聞いて!」と言っても、ずっと延々としゃべり続けています。
基本的に、認知症の祖母とは長い会話が成り立たず、当然口論や議論もできるはずがありません。
どうしてすぐ怒る?認知症の症状が原因です
認知症になると、どうしてすぐ怒るようになるのでしょうか。病院での先生の話、認知症介護の書籍などから知識を得た限り、次のような理由があるようです。
- 今までできたことが失敗だらけで自尊心が傷つく
- 認知症で感情のコントロールができない
- 物を盗まれたと勘違いして怒る
上記について体験談からお話します。
今までできたことが失敗だらけで自尊心が傷つく
僕の祖母もよく言いますが、昔はできていたことができなくなった、、と嘆いています。これが原因で、自尊心が傷つき、イライラするようになります。
例えばですが、祖母は家事ができなくなり、趣味だった編み物もできなくなりました。その結果、やりたいけどできない、、というストレスで「憂鬱だ…」と嘆くことが度々ありました。
認知症で感情のコントロールができない
認知症になると感情のコントロールも上手にできなくなるそうで、情緒不安定になることもあります。
祖母も1日の中で笑顔でいたと思ったら怒っていたり、すぐ退屈そうにしていたりと、感情が安定していません。
そのため、こちらも無理に合わせようとすると疲れてしまうので、大変なら少し距離を置くことも必要かと思います。
物を盗まれたと勘違いして怒る
物忘れがひどいと、自分でしまった財布や通帳がなくなった、盗まれた!と思考回路が働くようで、機嫌が悪くなります。
このような症状は多くの認知症患者さんに共通しているようです。このため、認知症になると怒りやすくなるわけです。

普段温厚な家族がここ最近よく怒るようになった、、という方は、一度病院に連れて行かれた方がよいかもしれません。
認知症の症状ですぐ怒る家族。どう対応すればいい?
それでは、すぐ怒り出す認知症の方を相手に、いったい私たちはどう対応すればよいのでしょうか。
結論から言います。
残念ですが、正解というものはありません。実際僕たち家族も、毎日状況が変化する祖母に対して、その都度試行錯誤を繰り返して対応してきました。
その人の性格にもよりますし、病状にもよります。怒っている原因も様々です。なので、対処するのが非常に難しいのです。
ただ、1つ僕たちが気を付けていることはあります。それをお伝えします。
認知症の方を、それ以上怒らせないように機嫌をとり、安心させてあげる…
これに尽きます。
認知症の方が怒っているからと、こちらも応戦してしまうと、余計に収拾がつかなくなります。下手すると、その後何時間もこちらが対応に追われることになります。
そのため、とにかく怒っているという事実を忘れさせてあげるのです。そのためには、機嫌をとり、安心させてあげるのが一番であると、今の僕は感じています。
まとめ
僕の祖母は認知症になる前はとっても温厚で、絶対に人を悪く言わず、何でも1人でこなしてしまう立派な人でした。
それが、認知症になってから、まったく別人のように変わってしまいました。
ですので、皆さんも同居する家族の方が、「なんだかいつもと変わったかな?」と少しでも感じたら、できるだけ早めに病院へ連れていってあげてください。