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認知症の親を介護する息子『同居する認知症の母が頻繁にトイレに行きます。 これは認知症の問題行動の一種でしょうか。水道料金が高額になってしまい、困っています。 何か良い方法はないでしょうか。。。』 |
こんなお悩みに体験談からお答えします。
- 認知症の症状とトイレにまつわる問題行動について
- 上記問題行動に対する解決策(体験談より)
この記事を書いている僕は、認知症の祖母と同居して8年になります(2019年4月現在)。家族で協力して祖母の介護に専念してきました。
祖母には認知症患者特有の症状や問題行動が現れましたが、試行錯誤の甲斐あって、今ではかかりつけの精神科、脳外科の先生に褒められるようになりました。
この記事の内容が、皆さまにとって少しでもお役に立てると信じております。
認知症の症状とトイレにまつわる問題行動まとめ【体験談】
認知症の祖母と8年同居した中で体験してきた、トイレにまつわる問題行動についてまとめていこうと思います。正直、このトイレにまつわるものは、後処理がかなり大変になります。
ご紹介するものは認知症の高齢者に限らず起こる場合もあります。
試行錯誤の末、効果があった方法については、解決策としてご紹介していきます。
認知症の症状と問題行動① トイレに頻繁に行く⇒水道料金が高額に
認知症の祖母は、とくにここ2~3年くらい頻繁にトイレに行くようになりました。多いときは、1時間に5~6回入ることもあります。
医者に相談したところ、膀胱が弱っているのではないか?とのことでした。
本人はつい数分前にトイレに行ったことを覚えていないので、それが今日初めてのようにしています。なので、「さっきトイレ入ったばかりでしょ?」というと、「そんなことはない!」と言って怒ることもあります。
トイレに行くたびにトイレットペーパーをやたら大量に使用し、そのたびに水量大で流すので、水道料金が高額になってしまうことも多々あります。
母が一度、祖母に「おしっこ?それとも大の方?」と聞いたことがあります。すると祖母は、「わからない。」と答えてトイレへ入っていきました。
これも認知症の症状なのでしょうか・・・わからないのにトイレに行くということは、ちょっと理解できませんでした。
解決策 – トイレと水道料金
さすがにトイレに行こうとする祖母を止めることはできません。誰だって、トイレに行こうとするところを邪魔されたら気分が悪いですから。
ということで、水道料金を上げない方向に努力する工夫をしています。具体的には、「小」のときは水を流さないようにしてもらっています。
祖母がトイレに入ろうとしたタイミングで母が「小だったらお水流さなくていいよ!節水してるから」と伝えます。すると本人も「わかった!」と聞き入れてくれるようになりました。(たまに忘れて流していますが…)
ただ、これを毎度のごとく伝えていると、「何回も聞いた!わかったから!」と怒るようになりました。
つまり、僕たちが伝えている内容が頭に残っているということですよね。これには正直驚きました。重度の認知症であっても、毎日何回も繰り返すことで、少しずつ記憶に残るという証明が出来ました。
認知症の症状と問題行動② トイレの便座に紙を敷く
祖母は自宅のトイレに入る度に、便座にトイレットペーパーを敷いているようです。これは母が発見しました。たまに敷いていたと思われる紙が床に落ちているためです。
何が問題なのかと言いますと、第1にトイレットペーパーの減りが早くなるということです。そして、大量に流す原因にもなるので、トイレが詰まりやすくなる、さらに流すための水道料金も高くなる、ということがあります。
ほかには、便座に敷いていた紙に便が付着して、それがそのまま床に落ちているときもあります。
本人は気づかないままトイレから出てきますが、後で入る人にしては気持ちが良いものではありません。
解決策 – トイレットペーパー
これもとにかく呼びかけを徹底しています。たとえば、こんな感じです。
「便座に紙を敷かないでね!うちの便座、電気で温まるから火事になっちゃうのよ!」
いや、実際に便座に紙を敷いて火事になることはないのですが、祖母は機械に疎いので、それを信じて「わかった!怖いね」と言う事を聞いてくれることがあります。
あと、母が工夫して”便座に紙を敷かないでね!”というイラストを描いたポスターを、トレイのドアの内側に貼りつけていたこともあります。
とにかくいろいろ試行錯誤をしましたが、やっぱりトイレに入る直前に呼びかけることが一番効果的だったようです。
認知症の症状と問題行動③ トイレにティッシュを流す
困ったことに、祖母は鼻をかんだティッシュなどをトイレに流すことがあります。ご存知のとおり、一般的なティッシュはトイレに流すと詰まることがあります。
祖母は鼻をかんだティッシュなどをすぐゴミ箱に捨てず、しばらく上着のポケットなどに入れておく癖があります。そしてトイレに入ったときに捨てているのだと思います。
解決策 – トイレとティッシュ
トイレに捨てられたティッシュを発見したときは、便器に手を突っ込んでつまみ出し、ゴミ箱に捨てることもあります。
ですが、そもそも祖母がティッシュをトイレに持ち込まないように、ティッシュ使用後はすぐゴミ箱に捨てるか、母が預かるなどして対応しています。
ならトイレに流せるティッシュに変えればいいのでは?となりそうですが、あれって結構高いですよね?祖母はトイレットペーパーだけでなく、ティッシュも大量消費するので(1箱2日でなくなる)、あまり高価なティッシュは使えません。
認知症の症状と問題行動④ 便ショックを起こして意識消失
便ショック(排便ショック)という言葉を聞いたことがありますか?
トイレで排便時に強くいきむことで、血圧が低下し、めまい、意識消失などを起こすことをいいます。
これは認知症の方だけでなく、健康な方も起こりやすいので、非常に注意したいものでもあります。とにかくトイレで強くいきみ過ぎないようにするしかありません。
祖母はよく便ショックで倒れます。トイレで排便時に強くいきんでしまい、血圧が下がり顔面蒼白になって、そのままトイレの中で床に崩れ落ちることが何回かありました。
そのたび、救急車を呼んでいます。意識をなくしてしまうからです。
トイレで苦しんでいる状態から、意識がなくなるまで一連の流れを見ているので、本当に心が苦しくなります。
解決策 – 便ショック
なかなか難しいことなのですが、まずはトイレでいきみ過ぎないように指示をします。祖母の様子がおかしいときは、母が一緒にトイレに入り、常に状況を観察しています。
そして、長時間トイレの中で過ごさせないようにしています。血圧が低下してきて、顔面蒼白になってきたら、もう倒れるまで時間の問題です。
こうなったら、急いで祖母をトイレから出し、布団の上で(緊急なら床の上)足を高くして寝かせるようにしています。血圧が低下しているときは、寝かせて下肢を高くすると良いそうです。
この処置が早ければ早いほど、トイレで祖母が意識を失うことが少なくなってきました。
認知症の症状と問題行動⑤ 暗闇の中で床に排便してしまう
認知症の祖母は、トイレに入るときに電気を付けることができません。そのため、昼なら明るいので良いのですが、夜は真っ暗闇の中でトイレに入ることもしばしばあります。
かといって、夜にトイレの電気を付けっぱなしにしておくと、今度は誰かが入っていると考え、入ろうとしません。さすがに1日中家族が起きているわけにはいかないので、どうしても暗闇の中でトイレに入ることになってしまいます。
そのせいで、ときどき排泄物が床に落ちていることがあります。見えないので仕方ないのでしょうが…
解決策 – センサーライト
トイレの中に、センサー感知式のLEDライトを設置することにしました。人が近づくと、ライトが点灯するものです。
これで、そこそこ明るい環境が保たれるようになりました。今では、このセンサー式ライトが家中のいたるところに設置してあります。
一晩中家中の明かりを付けておけないような環境では、ぜひ試してみてください。
認知症の症状と問題行動⑥ トイレを詰まらせる
昔の祖母はトイレを詰まらせることなんて滅多にありませんでした。ですが、認知症になってからはしばしばトイレを詰まらせます。
トイレに入る度に大量のトイレットペーパーを使用することが主な原因ですが、ティッシュを詰まらせることもあります。
一番驚いたのが、汚れた下着がトイレの便器の中に捨ててあったことでした。こんなのを流してしまったら一発でトイレが詰まります。そのときは未然に回収することで防ぎましたが。
詰まった時は、数時間かけて少しずつつまりを解消していますが、かなり体力をもっていかれます。
解決策 – トレイの詰まり
解決策としては、ここまでご紹介してきた方法を駆使するとしか言いようがないです。とにかく認知症のご家族がおかしな行動をとっていないか、未然に防げることはないか、試行錯誤していくことでしょう。
日中家族が起きている間は事前の声かけなどで対応できますが、寝ているときはどうしても対応が後手に回ってしまいますので。
あとは、あまり気にし過ぎずに、詰まったらその都度直そう…くらいの気持ちでいた方が楽かもしれません。
まとめ
認知症の症状とトイレにまつわる問題行動についてまとめてきました。主には水道料金の高騰、トイレの詰まりがほとんどだと思います。
とはいえ、工夫次第でどうにかなる問題もあると思います。何度も言い聞かせることで、だんだん理解してくれる場合もあります。
諦めずに色々と試してみてください。
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