認知症になってしまうと、もう何もかも覚えられず、お先真っ暗、、のようにお考えの方は多いと思います。ですが、完全にそうとは言い切れません。

この記事では、9年間認知症の祖母を介護した経験から、認知症でも繰り返し訓練することで物事を覚えられるか、という検証をした結果を解説します。

記事の執筆者

僕は認知症の祖母と約9年間同居しています。僕含む家族で認知症の祖母を介護してきました。祖母は重度の認知症(要介護3)ですが、今では接し方のコツを掴み、穏やかに過ごせる日々が増えてきました。

この記事の内容
  • 検証:認知症でも繰り返し訓練することで物事を覚えられるか
  • 認知症の方に物事を覚えさせるおすすめの方法

検証する:認知症でも繰り返し訓練すれば物事を覚えられるか

テレビ番組などで認知症患者の症状を見聞きし、「認知症=絶望」のようなイメージをお持ちの方は多いでしょう。認知症になったら最後、もう何も覚えられないし、言う事も聞いてくれない、、という認識の方も多いかと。

ですが、それだと認知症患者に対する接し方も諦めモードになってしまい、なんだか悲しいです。

ということで、僕ら家族は、認知症の祖母に色々な物事を覚えさせるべく日々努力してきました。この記事では、この9年間でやってきた中で覚えられたもの、覚えられなかったものをご紹介していきます。

祖母の認知症の程度・状態

検証内容の説明に入る前に、僕の祖母の認知症の度合いを解説しておきます。

  • 重度の認知症(要介護3)
  • 10秒前の会話を忘れてしまう
  • 1日に20~30回同じことを聞いてくる
  • 数分おきにトイレに入る
  • ときどき「盗まれた!」と騒ぎだす

このとおり、祖母は会話をしても10秒くらいするともう忘れている(というか話した先から忘れていく)ので、基本的には何かを覚えさせるなんて不可能な状況です。

繰り返し訓練する内容

祖母に対しては色々な訓練を実施してきましたが、主にやっていたのが以下の3つです。

  • 嚥下体操の訓練
  • トイレの訓練
  • 食事時の訓練

検証とは、普段から繰り返し行っている上記の訓練を祖母が自発的に行えるか、つまり覚えているかを確認する目的で行ってきました。

以下、深掘りして解説していきます。

嚥下体操の訓練

祖母は嚥下機能が低下しており、食事で頻繁にむせます。

病院で診察してもらったところ、嚥下体操を勧められ、日々の生活に取り入れています。具体的には、嚥下体操を解説するDVDを購入し、祖母がパソコンの前に座り、解説に合わせて体操をしています。

トイレの訓練

祖母はトイレに入ったことを数分後には忘れてしまうので、結果的に数分おきにトイレに入ります。出そうか、出そうでないかが判断できないようで、なんとなく気持ち悪いからトイレに行っているようです。

そして、トイレに入る度に水を大で流していたので、水道料金が大変なことになってしまいました。そこで、小のときは水を流さないように毎回祖母に言うようになりました。

食事時の訓練

祖母は食事時に足を組む癖があります。姿勢が悪いと嚥下にも悪影響があるので、食事時は足を組まないように毎回言いつけています。

検証結果

上記の3つの訓練を半年~数年続けていますが、次のような結果となっています。

嚥下体操の訓練:覚えることができた
トイレの訓練:覚えることができた
食事時の訓練:覚えることができない

以下、詳しく解説します。

嚥下体操の訓練

嚥下体操の訓練をやり始めた頃は、必ず誰かが横で見張っていないとダメでした。勝手にどこかに行ってしまったり、ポカーンとパソコン画面を見ているだけで体操してなかったりしたからです。

ですが、毎日一緒に訓練を続けたところ、見張りがなくても一人で体操ができるようになりました。さらに訓練の項目まで覚えることができるようになりました。

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パソコンで体操のDVDをつけると、「またこの訓練?他のないの?」のように話すこともあります。嚥下体操の訓練が記憶に残っている証拠です。

トイレの訓練

もう何年も祖母がトイレに入ろうとすると、「小なら水流さなくていいからね~!」と声かけしています。

その結果として祖母がどのような態度をとるようになったかというと、「何度もうるさい!」とか「耳にタコができた!」とか、「小だから流してないよ!」とか言い返してくるときがあります。

返事がアレなのは別として、単純に祖母が覚えてくれているということが嬉しく、僕たち家族はそれだけで舞い上がっていました。

食事時の訓練

食事で祖母がテーブルの椅子に座ると必ず足を組もうとするので、これも長い間声かけをしています。ですが何回声かけしても覚えてくれません。声かけしても数分するとまた足を組んでいます。

結論:認知症でも繰り返し訓練すれば単純作業なら覚えられる

3種類の行為を繰り返し訓練した結果、2つは覚えられ、1つが覚えられないという結果になりました。その因果関係は不明ですが、それでも繰り返し訓練することで覚えられる行動もあるということがわかりました。これだけで僕たち家族にとっては大きな成果です。

もしかすると、何かしらの行動を伴う訓練は認知症でも記憶に残りやすいのかもしれません。

なので、この記事を読まれた認知症の家族をお持ちの方も、認知症だからと全てを諦めてしまうのではなく、何が覚えられて何が覚えられないのか、検証してみるのもアリかと思います。

認知症の方でも新しく覚えられることがあると気づければ、気持ちの上でも楽になるかと思います。

認知症の方に物事を覚えさせる方法【おすすめ】

それでは、僕たち家族が試してきた「認知症の人に物事を覚えさせる方法」をいくつかご紹介します。認知症の症状や性格によって効果のあるなしは変わりますが、やれるところから試してみてください。

  • 大きなポスター(紙)に覚えてほしい内容を書き壁に貼る
  • 行動の度に声かけをする
  • 家族が一緒になって行動する

上記の内容を認知症の方が行動する度に徹底して行ってください。数か月、半年、どれくらい時間がかかるかは不明ですが、家族の付き添い、声かけがなくても一人で行動できれば成功です。

ただし、なんとか習慣化できた行動であっても、そこから家族が一切ノータッチとしてしまうと、また忘れてしまうと思いますので、ほどほどに付きそうことが大切です。

まとめ

認知症の方でも、単純な行動であれば何度も訓練を繰り返すことで次第に習慣化できることもあります。家族が認知症になったからといって、完全に諦めてしまうのは良くないと僕は考えます。認知症と診断された後も新しく覚えることができれば、家族としても嬉しいですよね。