民法第1条

(基本原則)
第一条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3 権利の濫用は、これを許さない。

(出典:e-gov-民法

解釈

私権とは「私法上、認められる権利」のこと。この私権の内容と行使は、社会共同生活全体の発展と調和しなければならず、これに違反する範囲では私権としての効力は認められない。

2項は、私的取引関係に入った者は、相互に相手方の信頼を裏切らないようにしなければならず、誠実に行動すべき。(信義誠実の原則)。⇒契約だけでなく、民法全般に適用される。

権利の濫用とは、外見上は権利の行使に見えても、実際は権利行使として社会的に許される限度を超え、権利の行使として認めることができない場合を言う。

権利濫用かどうかは、当事者、さらには社会一般の利益状況の比較衡量(客観的要件)と権利行使者の害意(主観的要件)を統合して判断する。

民法第2条

(解釈の基準)
第二条 この法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等を旨として、解釈しなければならない。

(出典:e-gov-民法

解釈

民法も憲法の精神にのっとって解釈されるべきということ。両性=異なった2つの性質。

つまりは、個人の尊厳を守り、両者を平等に扱うように解釈するということか。

民法第3条

第三条 私権の享有は、出生に始まる。
2 外国人は、法令又は条約の規定により禁止される場合を除き、私権を享有する。

(出典:e-gov-民法

解釈

自然人(権利義務の主体である、生きている自然の人)は平等に完全な権利能力を有する旨を間接的に定めている。

権利能力とは、法律上の権利義務の主体になることができる資格のこと。つまり、人は生まれて同時に権利能力を有するということ。権利能力は死亡によって終わる。

原則、胎児に権利能力はない(私権の享有は出生に始まるため)が、損害賠償請求権、相続、遺贈については、胎児はすでに生まれたものとみなされる例外あり。

外国人についても、例外はあれど、権利能力を認めている。

民法第3条の2

第三条の二 法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。

(出典:e-gov-民法

解釈

判断能力が不十分な者がした意思表示に完全な拘束力を認めると、表意者の利益を害する、保護されない。

よって、意思能力を欠く者がした行為は無効となる。例えば、赤ちゃん相手に契約をし、赤ちゃんが「ばぶー」と言っても、当然意思能力を欠くので、無効である。

民法第4条

(成年)
第四条 年齢二十歳をもって、成年とする。

(出典:e-gov-民法

解釈

20歳に満たない者を一律に制限行為能力者とする。例外は婚姻による成年擬制。

民法第5条

(未成年者の法律行為)
第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
3 第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

(出典:e-gov-民法

解釈

制限行為能力者である未成年者を保護するため、未成年者が法律行為をするには、法定代理人の同意が必要とした。

同意を経ずにした法律行為は取り消すことができる。

ただし、未成年者の不利益にならない行為、法定代理人の包括的な同意があるといえる行為、一定の身分行為については、未成年者も単独でできる。

<同意を要する行為>

  • 貸金債権の弁済を受領すること(元本の消滅をきたす)
  • 雇用契約をすること
  • 法定代理人から送金される学費や生活費の残額を頭金として自動車の割賦購入契約を締結すること(割賦金支払い債務を負担することになる)
  • 相続の承認、限定承認、相続放棄
  • 負担付贈与を受けること
  • 解除の意思表示を受けること

 

<同意が不要な行為>

  • 単純贈与を受けること
  • 口頭でした贈与をする旨の契約を、書面によらないものとして解除すること

 

身分行為

<同意を要しない行為>

  • 子の認知、認知の訴え、家裁の許可を得ての氏の変更
  • 15歳に達したものがする遺言

<同意を要する行為>

婚姻、限定承認

<同意があってもできない行為>

養親になること

⇒婚姻での成年擬制があれば、親権者の同意なくして養親となることが可能。

 

<目的を定めて処分を許した財産>

旅行費、勉学費

<目的を定めず処分を許した財産>

お小遣い

 

民法第6条

(未成年者の営業の許可)
第六条 一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。
2 前項の場合において、未成年者がその営業に堪えることができない事由があるときは、その法定代理人は、第四編(親族)の規定に従い、その許可を取り消し、又はこれを制限することができる。

(出典:e-gov-民法

解釈

許可された営業についてのみ、成年擬制の効果が生じ、法定代理にの同意なくして行為が可能。

営業というのは、営利を目的とした継続的事業を指し、商業に限らない。

また、営業の許可は1個または数個の営業単位で特定の営業についてなされなければならず、「1個の営業の一部」「すべての営業」というように許可することはできない。

2項の取消は、将来に向かってのみ効力を有するので、取り消しの効果は遡及しない。(したら大変)

⇒ちなみに、この取消は「取消の事実を知らない」善意の第三者にも対抗できるとのこと。

民法第7条

(後見開始の審判)
第七条 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。

(出典:e-gov-民法

行為の結果を弁識するに足るだけの精神能力(意思能力)を欠くのを普通の状態としていること。おおよそ7歳未満の能力程度。

家裁は職権で後見開始の審判ができないので、一定の者の請求が必要。

未成年後見人がいる未成年者であっても、後見開始の審判をして、成年後見人を付することができる。

民法第条

(成年被後見人及び成年後見人)
第八条 後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する。

(出典:e-gov-民法

後見開始の審判により、成年後見人が置かれる。成年後見人には代理兼、追認権、取消権を有するが、同意見はない。⇒同意したところで、成年被後見人が法律行為を有効にできることはない。

成年後見人は複数人選任されることも、法人が選任されることもある。

民法第9条

(成年被後見人の法律行為)
第九条 成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。

(出典:e-gov-民法

たとえ成年後見人の「同意」があっても、成年被後見人がした行為は常に取り消すことができる。

⇒成年被後見人は日常生活に関する行為以外のすべての財産行為について行為能力を有さない。

仮に契約当時に成年被後見人が完全な意思能力を回復していても、取り消すことが可能。

後見開始の審判を受けていなくても、意思能力を欠く者の行為は無効である⇒民3条の2

つまり、たとえ成年被後見人ではなくても、意思能力を欠いていたことを証明できれば、行為は無効となる。

「日常生活に関する行為」とは、食料品や衣料品の購入、公共料金の支払いなど。

日常生活に関する行為について取消権から除外されているものの、成年後見人は「日常生活に関する行為」について、成年被後見人を代理することができる。

民法第10条

(後見開始の審判の取消し)
第十条 第七条に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人(未成年後見人及び成年後見人をいう。以下同じ。)、後見監督人(未成年後見監督人及び成年後見監督人をいう。以下同じ。)又は検察官の請求により、後見開始の審判を取り消さなければならない。

(出典:e-gov-民法

「後見開始の審判」の原因が消滅した、とは、後見開始の実質的要件となる精神状態ではなくなること。

保佐、補助開始の要件となる程度の精神状態まで回復した場合を含む。

とはいえ、家裁によって後見開始の審判が取り消されるまでは、成年被後見人は制限行為能力者のままである。